eny 山形県地球温暖化防止活動推進センター NPO法人環境ネットやまがた
温暖化の影響
1.水資源 〜ますます深刻となる水不足や水被害〜
水資源は現在でも地域的に多寡がありますが、地球温暖化により気候が変動すると、乾燥地ではさらに干ばつが進み、雨の多い地域では洪水が増加するなどのために、水需給のバランスが崩れ、水資源の格差が世界的に拡大するおそれがあります。また水資源の変動は、人の生存そのものはもとより農業などにも大きな影響を及ぼします。
2.自然生態系 〜絶滅する種が増える〜
植物はそれぞれに適した地域に生息していますが、温暖化すると北または高地に移動しなければなりません。
 
樹木が種子をとばして分布を広げる速度は、40m/年から最高でも約2km/年と言われ、温暖化により約1.5〜5.5km/年で移動する気候帯には追いつけずに行き場を失い、絶滅するおそれがあります。
3.沿岸域 〜海面上昇により沿岸域の低地が水没する〜
沿岸域の低地には、多くの人間が居住しており、また動植物にとっても重要な生息場所です。しかし、地球規模で気温が上昇すると、海水の膨張や氷河などの融解により海面が上昇し、沿岸域の低地に対して、水没、海岸侵食、淡水帯水層への塩水の進入などの影響を及ぼします。

標高の低い南国の小島や、広いデルタ地帯をもつ国では、国土の消失や台風・高潮の被害の増大などの、深刻な影響をもたらすことになります。日本では、温暖化により海面が1m上昇すると、海面(満潮水位)以下の地域が2.7倍(2,300km2)に拡がり、人口410万人、資産109兆円が危険にさらされます。
4.人の健康 〜死亡率や伝染病危険地域が増加する〜
地球温暖化により、夏季に気温が高くなる頻度と期間が増加すると、熱射病などの発生率や死亡率が増加するおそれがあります。特に高齢者の死亡率が増加することが分かっています。
 
また、死亡率の高い熱帯熱マラリアが、従来からいわれていたよりも低い気温(最低月平均気温13℃)でも流行するという最近の調査結果もあり、最悪の場合、2100年には中国北部、韓国、西日本一帯までが流行危険地域に入る可能性があります。その他、デング熱などの北上も予想されています。
5.公害との複合影響 〜温暖化は公害を加速する〜
毎年夏になると光化学オキシダント、いわゆる光化学スモッグにより、目や喉の痛みなどの被害が発生しています。気温上昇は大気中の光化学反応を加速するので、温暖化した場合、多くの都市で光化学オキシダント濃度が増加し、健康影響が拡大すると予想されます。
 
この他にも、水質汚濁など、さまざまな公害の影響を助長するおそれがあると考えられます。
6.影響の度合い 〜地球温暖化の影響は不公平である〜
地球温暖化の影響は、どこでも同じように現れるわけではありません。気温の上昇は高緯度地域ほど大きく、降水パターンは細かく変化し、しかも地域による差が大きくなると予測されています。突然の冷害や局所的な異常降雨、異常乾燥なども増加するおそれがあります。
 
特に、経済的、技術的事情から対応策が講じることが難しい開発途上国において、より影響が大きいと考えられます。