■山形エコハウスの設計当初のコンセプト
「山形エコハウス」は、設計当初、以下のコンセプトを元に設計されました。
1 地域性
■建設予定地の気候、風土等との調和
山形は夏暑く、冬厳しい気候です。夏は夜間の気温が十分に低下します。したがってナイトパージを利用した建物内の熱気を排出する 開口部を計画します。風が弱い時でもトップライトからの重力換気により空気の流れを感じられます。
冬はしっかり断熱して建物内の熱を流出させない仕様とします。
■建材
構造材、仕上げ材を県産無垢材で建設します。山形市有林の材木を使用し、建材の地産地消をアピールしていきます。外壁は竪目地 貼りとし、経年変化を楽しめるように仕上げは素材の色とします。
内装はシックハウスにならないように材料を吟味し、漆喰などの自然素材を選定します。
■工法
一般材を使用した在来工法として、汎用した技術を使います。
監理中、定期的に公開することで、エコハウスの啓蒙・啓発に役立てていきます。
2 環境基本性能の確保
二酸化炭素の排出量ゼロ、すなわちカーボンニュートラルハウスとします。Q値=1.0、当然CASBEE Sランクを目指します。
●木製トリプルサッシ |
●換気システム |
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■断熱 気密
断熱の仕様は屋根に高性能グラスウール300mm、壁に高性能グラスウール200mm。
基礎断熱発砲ポリスチレン3種B100mm。
開口部は木製トリプル窓とします。木質断熱や羊毛断熱を部分的に使用し、内壁の一部にガラスを使
い断面を見せます。
換気システムは熱交換換気システムとします。壁体内に内部結露を起こさないよう適切に気密シートを 配置し、断熱材の内での対流が発生しないよう気流止めを取付けます。
■日射遮蔽
夏期の熱の過剰進入をコントロールします。
■日射導入
冬に日射導入を図るため外構の樹木は落葉樹を選定します。建物を真南に向け、最大限の開口部を 設けます。
冬期の夜間熱が放出しないよう断熱ブラインドを設置します。
■通風 換気
窓を部屋の対角線上に備え、さまざまな風向に配慮して準備します。ワンルームなので通風がとりやす くなります。
トップライトも設けます。換気は熱交換換気システムを採用します。
■自然素材
高気密なので室内空気を汚染しないよう自然素材を効果的に使います。
■外部環境の緑化
エコハウス南面に落葉広葉樹(コナラ)を配置します。夏は緑陰をつくり熱負荷も軽減されます。また、冬は落葉し日射を妨げません。
更に、敷地の南東に家庭菜園をつくることを計画します。
雨水貯留タンクを設置して雨水を貯蔵し、外部散水などに利用します。
●太陽光発電
(全国地球温暖化防止活動推進センターホームペ- ジより) |
●ペレット |
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3 自然・再生可能エネルギーの活用
■太陽光 太陽熱
太陽電池のパネル40uを設置し、5kWの電力を得る計画です。屋根に太陽熱温水システムを設置しま す。
■木質バイオマス設備
ペレットボイラを導入します。暖房とともに給湯も受け持ちます。実際のサイズや内容を展示することで 普及活動にもなると考えます。
ペレットの搬出入のシステムも「見える化」し、購買に対する不安を取り除きます。また、地域暖房を視野 に入れた準備をしておきます。
■見える化
要素技術の効果を、東北芸術工科大学と恊働して学会等に報告します。
4 地域への波及効果と住まい方
地域への波及効果への寄与
東北芸術工科大学のサスティナブルタウンのための10の提言をモデルとし、さまざまな波及効果を狙い ます。
■情報の発信 (東北芸術工科大学と恊働)
建設のプロセスごとに、映像やブログなどで途中経過を記録し、発信していきます。
また、建設自体のプロセスを広報します。竣工後に省エネの効果などを計測し、データを蓄積します。市民に開かれた住民参加型の地 域循環を森林と家づくりをとおして見せていきます。