現在、鹿児島の地からこの文章を書いている。
鹿児島空港に着いて携帯に電源を入れるやいなや、事務局からの電話に顔がひきつる。
「あの〜、原稿の締切り、今日なんですけど・・・。」
中心商店街活性化事業「100円商店街」が、全国に広がりを見せている。
今月27日に実施予定の「鹿児島県さつま町」に講義に来ている訳だが、これまで北から「北海道旭川市」「新庄」「新潟県三条市」「福島県喜多方市」「広島県尾道市」「熊本県宇土市」の6箇所で導入されている。
今まで全国各地で実施された様々な活性化事業とは全く違う種類の事業であり、昨年の経済産業省の「がんばる商店街77選」の中でも、たった一つ「補助金未使用」というのも特徴の一つだ。その廉価性もさることながら、高い効果が評価され、全国に波及している。
全国各地で商店街の衰退は加速している。福島県会津坂下町では、私が考え恐れていたことが現実化していた。商店街をぐるりと囲むように新たな幹線道路が作られ、郊外には大型店が進出している。数年前、郊外に大型の家電メーカーが進出してきて、その煽りを受けた商店街の電気屋さんは、1店残らず店を閉めた。その後、売上が伸び悩んだ為か、大型家電メーカーは撤退。会津坂下町では、プリンタのインク一つ買うにしても、車で20分走らないと購入できないという。たまたま家電であったが、これを食品等の生活必需品に替えて考えてみると、恐ろしいのである。このままでいけば、生活の基盤を失う。
100円商店街という事業は、過去のどんな商店街活性化事業と比較しても、格段の効果がある。地元より県内、県内より全国で高い評価を得るというのは皮肉な結果だが。全国で導入した地域では、集客力の強さと販売促進効果が確実に現れている。しかし、この100円商店街という事業をもってしても、商店街の衰退に歯止めがかかっていないのが現状である。衰退の度合いをベクトルで表した場合、急角度で落ちていくベクトルが、水平方向に角度を変えた程度で、水平には達していない。
この秋、環境問題と商店街の活性化という2面性を持った事業が、「エコ杯 in やまがた」で大賞を受賞した。商店街資源回収プロジェクト「ちょぺっと」という事業である。巨大なスキームの中のごく1部分が現在の「ちょぺっと」の姿だが、秘めたポテンシャルや発展の可能性は100円商店街を大きく上回っている。市民も、商店主も、商店街も、自治体も、みんながちょぺっとづつ得をするこの事業は、今後の成長が楽しみである。より多くの人が携わることが、商店街の活性化も温暖化抑止にも重要だと考える。そして、この「ちょぺっと」こそが、商店街活性化にも環境問題にも共通する、新たな鍵になってくれるものと確信している。
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