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〜 2008年1月19日に開催された「地球温暖化防止シンポジウム」
            参加者からセンターに寄せられたメッセージ 〜

『見果てぬ夢』

<A・Sさん(山形市)>

  私どもの住む地域は、奥羽山系の少しの平地に拓けた小さな農村です。都
会の友人は「自然がいっぱいで良い所だ」と言いますが、この小さな自然も急
激に変わってきているのです。この頃、毎日のように温暖化のことが話題にな
りますが、私も自然相手の農業を50年以上もやってきましたので数年前から
それを感じてきました。でも、毎日の仕事に追われて考えるひまもありません
でした。
  同年代の人達に話をしても、皆感じてはいるのでしょうが、「おれたちは今
までがんばってきたんだから、あとは少しばかりの年金で生きていくしかない」
と言うだけで、若い人達のこと、温暖化のことなど誰も言いません。年寄達は
あきらめることに慣れているのです。75歳の私にはもう何もできません。で
も、見続けてきた夢を誰かにわかってもらいたいのです。

 資源の少ない日本ではまずエネルギーのことです。自然を利用しての発電
です。
【太陽光発電】
  まずは日本中の公共の建物に取りつけましょう。やがてはすべての個人の
家の屋根にも上げられるように、それを取りつけた人には税金を安くするとか
何らかの国の補助をつけていただければもっと普及してパネル板も安くなるで
しょう。
【原子力発電】
  原発はコストが安いといいますが、あの施設を作るには、その地域に特別
にいろいろな物を建ててやったり、わざわざ迂回する道路を作ったり、そういう
お金を見ないで、ただ発電のコストだけを考えるから一番安上がりだと思うの
でしょう。それに、後の世までも残る核のゴミの問題など考えたら安いもので
はないと思います。
【風力発電】
  数年前、ある湖に行った折気づいたのです。
  湖のほとりに等間隔であまり高くない棒のようなものがあり、上で何か廻っ
ているものを見たことがありました。近くのお店の人に聞いたら風力発電で、
夜になると上の方に灯りがともるのだということでした。あのぐらいのものなら
どこにでも運べます。
  最近、農機具メーカーでも作ったとか聞きました。中小企業で自然エネルギ
ーの仕事をしている会社は優遇するとか。地方にもそのような会社をたくさん
作るとか。頭脳集団を集めて研究所を作るとか。国をあげて考えれば日本人
なら、すばらしいことができると思います。
  その他にも、バイオエネルギーは人間の食物からではなくて、剪定枝とか、
もみがらとか、考えたらできそうなものがたくさんあります。
  それから、地熱発電とか、バイオガスとか、政治家の先生方、超党派で考
えて下さい。今すぐ始めなければ間に合わないのです。
【食糧自給】
  日本は瑞穂の国。どこにでも水田があります。それを荒らして補助金を出
して減反です。昔の人(私もかなり昔の人ですが)がみたら、「何ともったいな
いことだ」と言います。少しの空地でも耕して自給して生きてきた時代を皆忘
れてしまったのです。非常時になっては困りますが、「もったいない」を忘れて
はいけないのです。外国とのおつき合いの事もあるのでしょうが、いくら平和
な世でも自給は大事なことだと思います。
【夢のはなし】
  なだからな、丘のような里山があります。そこには果樹が数種植えてありま
す。ふもとの拓けた場所には少しばかりの水田があります。小川も流れてい
ます。春には、桃から始まって次々に花が咲きます。桜桃、りんご、すももの
真白い花、やがて果樹が実をつけます。6月頃には水田も青々として、おたま
じゃくしがいっぱいです。
  水田の少し上の平らな場所には、昔の分校のような建物があります。集合
住宅です。裏の方には家畜がいます。屋根には太陽光発電、丘の上には手
頃な風力発電が立ち並んでいます。下水道が問題です。
  裏に飼育している家畜の糞尿と人間のものとを一緒にして簡易下水装置を
作ります。バイオガスなるものができます。この方法は本当に使っている人が
おります。燃料は自給できます。もちろん電気も自給です。
  食料は住人皆で作ります。畑仕事が好きな人。加工の仕事が得意な人。
情報発信するのが好きな人、いろんな人がいていいのです。
  ここで自給できるリストを作ってみました。米、みそ、醤油、食用油、肉、卵、
川魚(鯉、ふな、うぐい、どじょう)等々、それに次々に実る果物、新鮮な季節
の野菜、これぐらいあれば人間生きていけます。
  このような場所が全国あちらこちらにあれば、日本の国内だけでなく世界中
に発信していけば、地球上に飢えがなくなるでしょう。やがては地球の温暖化
も回復するでしょう。
  夢で終わらせたくない見果てぬ夢の話を書きました。日本人の叡智を結集
すれば絶対できると信じています。
  私の人生は終わっても、それこそ、千の風になって、祈りをこめて見守りま
す。